ショート・ショートか短編小説のようなタイトル。どんな物語があるのだろう?と思わせる。「森の少女」は井上陽水の夢で「カジノの男」は沢木耕太郎の体験らしい。
『貧乏だけど贅沢』 沢木耕太郎 文春文庫 2012年1月10日初版
近所の図書館の”戻ってきた本”のワゴンにこの書物があった。表紙をめくると対談集で、トップ「森の少女とカジノの男」の相手が井上陽水。もちろん借りてきて読んだ。文庫化は上記のとおりだが単行本は 1999年文藝春秋刊 とのこと。さらにその元は雑誌「小説新潮」94年5月号に掲載されたものとのこと。ざっと20年ぐらい前のことだろうか。陽水ファンには古臭い話だろう。
行先も決めずに成田へ行って・・・という陽水に沢木さんは驚いている。インドにも行くというのも意外と言っていて、それにはわたしも同感。インドへ行きそうもないというイメージを持っていたから。
最近、といっても3年近く前だが、この対談の続きを読んだ。井上陽水公式サイト「PROFILE」2010年の部に下記のように記されている。
゛12/22 新潮社「小説新潮1月号」にて沢木耕太郎さんと対談”
この2010年の対談で話題になっている沢木さんの趣味的研究「合理のすき間」は、その17年前にすでにかなり進んでいたらしい。バカラの必勝法の研究、まことに意外です(笑い)
1994年「森の少女とカジノの男」の最初の話題は、えのきどいちろう「井上陽水全発言」だ。その本のあとがきに陽水へのインタビューのエピソードが紹介されているらしいが、読んだ記憶がない。あまりの厚さに辟易して気が回らなかったのだろう。その本を探して読みたい。
陽水との対談のみならず、例えば阿川弘之、田村光昭などとの対談でも井上陽水の名が出てくる。麻雀がらみで、または阿佐田哲也の話題で。でももちろん巻頭の対談が抜群に面白い。気心の知れた友達同士の話という感じ。お互いにどんな方向からのボールも受け取って返す様が楽しそうでもあり、羨ましかったりもする。
陽水はいまも海外旅行をするのだろうか。海外での解放感は普通人のわたしの想像を遥かに超えるだろう。エッセイでも書かれたらいいのに。あるいは今度Liveで話してください。どんな贅沢な旅でも。
この対談集の10篇に通じているテーマのようなものは、2番目の阿川弘之との対談「贅沢な旅」において図らずも(?)説明されている。”旅”の定義などのあれこれが面白い。
旅にまつわるあれこれを読みながら、つい自分のことを考える。引っ越して来て5ヶ月、東京や横浜に行く時いまだに「帰る」と言う。では今は長い旅行なのか。実際には帰る家はないから違うのか。
井上陽水公式サイト 今日も井上陽水 2010/12/22 沢木耕太郎×井上陽水
COMMENT