2021年3月6日のKBCラジオの大型音楽番組に陽水がコメントで出演していた。友だちのおかげで聞くことができたのだが、アナウンサーによると録音したカセットテープが送られてきたらしい。
ラジオ局が送ったアンケートに逐一答えるという“真面目”さ。人間が二足歩行し始めた頃から音楽は根源的に深いところで作用しているのではないかと、まっすぐな解答ぶり。
いつもの喋りかたで滑舌もはっきり。久々の声が嬉しかった。
放送は全部、ブログ「水の方向音痴」さんが陽水の口調そのままに書き起こしてくださっている。ありがたいです。
内容はそちらをお読みいただくとして。
放送後にかかった曲が「能古島の片想い」
♪つきせぬ波のざわめく声に
♪今夜は眠れそうにない
意外でもあった。久しぶりで聴いた。
声がメロディが身体に沁み込んで、かたまりを溶かす。ゆっくり呼吸をする。
コロナ禍といわれる状況下でも、普段からひとに会わないわたしの生活は、そんなに変わらない。家に家族が居て通勤して会社で他人に会う人たちの緊張や疲労に比べるとラクなものだと思っていた。
でもどこか、ピリピリしていたのだろうか。こんなにほっとするなんて。
私はもうこの50年間
どちらかというとあの
暗い曲ばっかり作ってきておりましたから
これからはちょっと
聴いてる人に希望を与えるみたいな曲が
できたらいいなぁとは思っています
(『水の方向音痴』より)
さっき陽水の声はそう言っていたが
なにをいってるのか、このひとは
じわっと怒り、のような感情がこみあげた。
2012年と13年のツアーで、その“暗い曲”に涙を流した東北のみなさんの、終演時の歓声を忘れたのだろうか。
わたしたちが待っているのは新しい曲ではない。
失礼な話だ、怒るなんて。当然反省をしてまた待つ。
公式サイトにゆくのを忘れた夕方は
しまったおくれをとったかと慌て
日曜日の夜には
きっと来週にはと思い
陽水にとってファンなんてただのお客さんかと悲しみ
あらためて『センチメンタル』の素直な抒情を愛でたり
ある朝はふっと、もしかして体調が?と心配し
そうこうして そのカセットテープの声から4ヶ月と27日経った。
今日も暑い1日。8月2日 月曜日。
COMMENT