井上陽水ってどんなひと?わからないから知りたくて。今日も明日も明後日も。
2年ほど前から突発性難聴の後遺症で「音割れ」が続いている。これが説明しにくい症状で、聞く音が濁るというか、蛙の合唱が入り込むというか。音質にもよるし音の多少にもよる。音は少ないほうがよい。
耳を気にする毎日毎夜、耳が主役のこの曲を。
「長い話」 アルバム『UNDER THE SUN』の最後、堂々と宇宙までうたうタイトル曲の後にこっそりと在る。
♪やすんだままで聞いていて
♪笑っていたっていいんだよ
♪時計を見たってかまわない
♪とにかく紅茶をいれようか
♪君の耳だけ 朝が来るまで
♪僕に向けていて
暖かい部屋でくつろぐ夜。紅茶の湯気にほっこりする風景にはじまる。
楽器はベースとピアノとバイオリンたち。
最後のこの歌詞では「長い」を5回も繰り返してうたっている。
♪長い話を朝まで
♪君にしてあげる
よほど長いのだろうと諦めて眠ろうとするが、「耳だけ」を強調する詞が気にかかる。1番の「時計を見たって」はまだよいとして「怒ってみたって」「本でも読んで」「眠ったままでも」、それで「耳だけ澄ましてね」って。いったい何を望んでいるのだろう。
この部屋にいる長い話の相手の誰か。その心に届くことは望まないのだろうか。聞いてくれれば誰でもよいのか。耳だけ貸せって失礼な!怒って当然です。
いやしかしこのシチュエーションでそんなはずはない。相手の誰かの心に届けたいが諦めている?本当はちゃんと聞いてほしい。会話もしたい。でもそれを言えない事情があるのか。話しても話しても空回りなのか。
あまり聞かれないだろう小さな曲「長い話」。長いだけあって複雑です。
やはりさみしい歌なのだろうか。
[24年2月24日追記]
文字で歌詞だけ読んであれこれ考えるのは悪い癖だ。反省。
点滴だけのための退屈な入院中の眠れない夜に、どんなにありがたく聴いたことか。楽器が少なくてシンプルな曲調のこの曲自体が「長い話」だった。陽水の声は割れもせず耳に柔らかく届き、繰り返し聴いて幸せに眠った。
株価がどうのこうのより、気温が気になる毎日です。天気予報には、おや、傘と雪だるまが並んでいます。
お休みなさい。見る夢はきっと春の夢。